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澤乃井 立春朝搾り レポート
平成22年「澤乃井 立春朝搾り」レポート
3/4 AM 10時

3/4AM10時、東京駅に集合した3人は、一路新潟を目指しMAXトキに乗車。
長岡まではおよそ2時間。指定席で快適な時間を過ごす。高崎を過ぎたあたりからトンネルが多くなり始め、トンネルとトンネルの合間の風景から、雪化粧を施された山が見えてくる。

12時前に長岡駅到着。近くの料理屋さんで昼食をとる。新潟のお米は美味しいと何遍も聞かされていましたが、食べてビックリ!ホントに美味しい。お米で感動してしまいました。甘みがあるし、炊き方もばっちり。こんなお米でお酒を造ったら、さぞかし美味しいのだろうな。

13時前

13時前、長岡駅〜吉乃川酒造到着。長岡からの車中、タクシーの運転手さんと気象状況について話す。今年は雪が多く、普段降らないようなところでも大雪になって困ったのだそう。ただ、長岡周辺の車道には地下水を汲み上げて雪を溶かすパイプが道路の真ん中に敷き詰められていて、交通が麻痺することはなかったそうな。ただ、弊害として、地下水に含まれる鉄分のせいで、道路がお赤みを帯びていたのが印象的。どうにも取り除けないらしい。

さて、吉乃川さんに着くと同業他社の方が4名ほどいらっしゃいました。後々打ち解けるのですが、最初のうちは互いに牽制しつつ。1日目の行程は工場案内。白い作業着に着替えて、いざ工場へ。昌和蔵と中越地震から復興した眞浩蔵からなる2棟が主な工場だ。

昌和蔵 蔵外観
仕込み室

雨の中、若干肌寒いものの清酒工場の中に入れる好奇心のほうが強くなる。 まず、最初に入った部屋は仕込み室。仕込みタンクの口の部分だけが見えている。炭酸ガスが充満しているので絶対に落っこちないでください、と注意を受けて恐る恐る覗き込む。 仕込んでから8日目の純米酒のもろみ。写真だとよくわからないかもしれませんが、普通、コポコポ泡だっているのですが・・・、泡立ちが少ない。聞くと、泡の少ない酵母を使っていますとのこと。余談ですが、吉乃川酒造さん内には、主にパン工場向けの酵母を研究している施設もあるとのこと。そこで発見された酒用の泡が出ない酵母を使ってお酒を仕込んでいます。新潟酵母で仕込んでいますので、K−701と表記をするそうです。(K−7=協会酵母7号を使用。→付随の01=泡の出ない酵母という意味だそうです。)研究が進むにつれて表記もだんだん複雑になっていくのですね。

タンク外観 泡ナシ酵母

この泡の少ない酵母のおかげで、通常の仕込み量タンク1本あたり1/3しか仕込めなかったのが、1/2に増やすことができる。とても造り手にとってありがたい発見だったようです。 また、ここのタンクにプロペラ型の泡消機がないのもこの酵母のおかげです。

麹室

続いて麹室へ。室温40度、湿度70%に及ぶこの部屋で、お酒のもととなる麹を作ります。いくら機械化が進んだとはいえ、この作業だけは人間の手が必要不可欠。麹菌がどれくらいお米に食い込んでいるのか、目で見て判断する職人技が今でも必要な場所であります。
出麹した麹(仕事が終わって乾燥・放熱されたもの)があったので、を少し食べてみてもいいですよと、許可を頂いたので一つまみ。・・・かなり固いのですが、中はやわらかい「外硬内軟」。良いお酒を造る基本だそうです。食べるお米とはやはり違います。ここでは、大吟醸用に使う蓋があったので蓋麹法の仕舞仕事の真似事をさせてもらう。午後の15時を過ぎると作業は完全に終了していて、止まっている機械しか見られませんでしたが、ぐるりと工場内を回り、動いているところがありました。

酒米 酒米
大吟醸を搾っている部屋

大吟醸を搾っている部屋です。いわゆる「ふなぐち」で搾っているのですが、入ったとたん、何とも言えぬ甘い香りが部屋を支配していました。ほんとの搾りたてなので無濾過。黄緑がかった上品な色。製品にするときにはフィルターを通すそうです。ほんとに一滴一滴、ゆっくり時間をかけて滴り落ちてきます。少しだけ試飲させていただきました。

ちなみに、吟醸香の成分が何処から来るかご存知でしょうか。吟醸造りは一番寒い時期に仕込みます。酵母を生かさず殺さずギリギリの12〜13度くらいの温度で仕込んでいると酵母から、もう限界!という酵素がでてきます。この酵素こそ、吟醸香の正体です。
私は酵母から由来しているものと記憶していたのですが、酵母の酵素から由来しているものだとは知りませんでしたのでとても勉強になりました。

ふね大吟醸
瓶詰め工程

最後に気になった瓶詰め工程。完全に機械化されていて、流れてくる瓶は勝手に梱包されるのですが、使えるのはグレーと緑のP函だけとのこと。なぜ??高さが違うからです。1ミリでも高さがずれると機械がダウンしてしまいます。ほほう、そんなにデリケートな機械なのか。と感心する前に、P函の高さ、長さって色によって違うんですね!と変なところで新しい発見をしてしまいました。これって常識なのでしょうか?

ミーティングルームに戻り、おのおの荷物をまとめて蔵から徒歩15分ほどのビジネス旅館にお世話になる。炊き立てのお米の美味しいこと!宿舎のおばあさんは男7人やってきたということもあって炊飯ジャーすりきり一杯まで炊いてくださいました。感謝。

2日目

雨。外からはラジオ体操の音楽がきこえてくる。
着替えを済ませて麹室へ。室温40度、湿度70%の部屋へ冷え切ったからだで入ると、まるで汗をかいているように水分が体中にまとわり付く。室温50度、湿度100%なんていう日もあるそう。メガネの方は要注意です。
別室から蒸米されたものがパイプを伝って麹室まで流れてくる。一定の量で供給はストップされるシステムになっているので、無駄が無い。流れてくる米を必死に平らにするのだが、かなりの重労働。少し動いただけで体中から汗が出る。一段積んで床を敷き、また平らに。3段目まで仕事をして終了。ちなみに、この箱は機械名「中越式自動製麹機」というもので、箱の中を空気が循環するため、それまで蔵人が24時間体制で空気を送り込んでいた作業を無くした画期的な機械であります。

麹室 麹米
仕込みタンク

次に向かったのは仕込みタンク。ここではタンクの中の米が固まりにならないように櫂を突く作業。ザラザラ―とパイプを伝って入ってくる。仕込みたては重たくてなかなか櫂を上手につけないそうですが、仕込んでから9日目のもということで、かなり溶け込んでいて楽は楽だったのですが、やっぱり重たいです。しかも上手にかき混ぜるのは素人には無理。一段落し昼食をとり、研究施設へ。

櫂入れタンク
研究施設

研究施設では酒室検査の研修をしました。文系の学生だった私にとってピペットとかビーカーとかいう単語は理科の実験以来。
酒度・アルコール度・アミノ酸度・のチェック。
検査する酒を15度に温度をキープした上でそれぞれ計測していきます。
酒度のチェックは日本酒度計を使い、比重を調べます。浮秤のようなもので浮き沈みで日本酒度を確認します。アルコール度のチェックは検査するお酒を蒸留し、アルコール分がどれくらい残っているかで確認します。アミノ酸度のチェックはお酒(酸性)に赤色を付け、水酸化ナトリウムを加え、中和したときの水酸化ナトリウムの量で決めます。今ではこんな面倒なことはせずに、機械で全て計測してしまうようです。わざわざこの日のために昔ながらの方法で目に見えるよう教えてくださいました。

ここで感心したのは毎日タンクごとに検査をしていること。神奈川県で飲んでいるお酒もいろいろ調べていけば、何月何日に何番のタンクで仕込まれたお酒というのもわかってしまうらしいです。日本酒のトレーサビリティ恐るべし。

研究室 研究室

こんな感じで2日間、駆け足ながら日本酒に触れてきました。本で読むのと実際触れてみるのとでは、やはり断然、後者ですね。機会があればまたもう少し勉強してからお伺いしたいところです。吉乃川さんは安定した品質の商品を機械を使って上手に生産しているなというのが感想です。日本酒を造りに行くのが決まってから、どれだけ重労働なのだろうか。と不安に思っていたのですが、実際は機械で制御されていて、ボタンひとつで何でもできてしまうようでした。それでも、やはり麹だけは人が必要ということで、蔵人さんが一生懸命作業していたのが一人の酒好きとしては安心したところです。 こんな滅多にない機会をいただきありがとうございました。

仕込水 外観
 
 
 
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